AWS自動化プラグイン6種の機能全体図と実践的な使い分け
はじめに
AWS公式が提供している Agent Plugins for AWS は、AWS開発で繰り返し発生する6つのタスクをClaude Codeから扱えるようにするプラグイン集です。
この記事を読むと、次のことが把握できます。
- AWSで必要になる6タスク(デプロイ・サーバーレス設計・フルスタック開発・DB管理・GCP移行・位置情報)を、どのプラグインがカバーするか
- 各プラグインのトリガーワードと主な機能体系
- どのタスクのときにどれを選べばよいかの使い分け
つまり「便利そう」という印象ではなく、AWS開発の各タスクを自動化するプラグインの全体像 をリファレンスとして掴むことが目的です。
各プラグインの仕様の細部や最新の対応サービスは更新が早いため、本記事は全体像と使い分けに絞り、詳細は公式のプラグインドキュメントに委ねます。なお、前提となるAWS CLIの基本設定は別記事の AWS開発チートシート を参照してください。
タスク別マップ
「やりたいこと」から逆引きできるよう、先に全体像を示します。
| やりたいタスク | 使うプラグイン | 主なトリガー |
|---|---|---|
| アプリをAWSにデプロイ | deploy-on-aws | 「AWSにデプロイして」 |
| Lambda等のサーバーレス設計 | aws-serverless | 「Lambda関数を作って」 |
| フルスタックアプリ開発 | aws-amplify | 「Amplifyで〇〇を作って」 |
| データベース管理 | databases-on-aws | 「DSQLでテーブルを設計して」 |
| GCPからの移行 | migration-to-aws | 「GCPからAWSに移行して」 |
| 地図・位置情報 | amazon-location-service | 「地図を表示するコンポーネントを作って」 |
このうち、筆者が実際に使っているのは deploy-on-aws です。コスト見積もりとTerraform生成での具体的な使い方は、記事後半の「自分の使い方」にまとめています。
Agent Plugins for AWSとは
AWS公式が公開しているClaude Code(およびCursor)向けのプラグイン集です。AWSのドメイン知識を再利用可能なスキルとしてパッケージ化しており、以下の6つのプラグインが含まれています。
| プラグイン | 用途 |
|---|---|
| deploy-on-aws | アプリケーションのAWSデプロイ |
| aws-serverless | Lambda・API Gateway等のサーバーレス開発 |
| aws-amplify | Amplify Gen 2でのフルスタック開発 |
| databases-on-aws | Aurora DSQL等のデータベース管理 |
| migration-to-aws | GCPからAWSへの移行 |
| amazon-location-service | 地図・ジオコーディング・ルーティング |
それぞれがMCPサーバーと連携しており、AWSの料金情報取得やドキュメント参照、IaCコード生成などをリアルタイムで行えます。
インストール方法
Claude Codeへの導入は2ステップです。
ステップ1:マーケットプレイスの追加
/plugin marketplace add awslabs/agent-plugins
ステップ2:使いたいプラグインをインストール
/plugin install deploy-on-aws@agent-plugins-for-aws
/plugin install aws-serverless@agent-plugins-for-aws
/plugin install aws-amplify@agent-plugins-for-aws
/plugin install databases-on-aws@agent-plugins-for-aws
/plugin install migration-to-aws@agent-plugins-for-aws
/plugin install amazon-location-service@agent-plugins-for-aws
全部入れる必要はありません。自分が使うものだけインストールすればOKです。
前提条件: AWS CLIが設定済みで、適切なクレデンシャルが利用できる状態であること。IAM Identity Center(SSO)による一時認証の設定方法は AWS開発チートシート を参照してください。プラグインによってはSAM CLI(1.153.1+)やNode.js 18+なども必要です。
各プラグインの詳細
各プラグインの機能はAWS公式で頻繁に更新されるため、ここでは「機能の概要・トリガーワード・どんなときに使うか」に絞って整理します。各項目の細かな仕様は公式のプラグインドキュメントを参照してください。
1. deploy-on-aws — アプリをAWSにデプロイ
コードベースを分析し、サービス選定・コスト見積もり・IaC生成・デプロイまでを一連で扱う、最も汎用性の高いプラグインです。
- トリガーワード: 「AWSにデプロイして」「AWSでホストして」「AWSのコスト見積もりして」
- 主な機能: コードベース分析、AWSサービス選定、月額コスト見積もり、IaC生成(CDK / CloudFormation / Terraform)、デプロイ実行
- 使うとき: 構成の当たりを付けたいとき、コスト感を先に知りたいとき、IaCのたたき台が欲しいとき
サービス選定はアプリ種別から自動で行われますが(Webフレームワークなら Fargate + ALB、静的サイトなら Amplify Hosting など)、serverless と明示すれば Lambda + API Gateway に切り替わるなど指定も効きます。セキュリティ面(S3プライベート化・暗号化・HTTPS強制・OAC・IAM最小権限)はデフォルトで適用され、production 指定で Multi-AZ や WAF などの本番強化も入ります。詳細な選定ルールは公式ドキュメントを参照してください。
2. aws-serverless — サーバーレス設計
Lambda・API Gateway・Step Functions・EventBridge を使った設計・構築・デプロイ・テスト・デバッグを支援します。
- トリガーワード: 「Lambda関数を作って」「SAMテンプレートで〇〇の構成を作って」
- 内包スキル:
aws-lambda(関数作成・イベントソース設定)、aws-serverless-deployment(SAM / CDKデプロイ)、aws-lambda-durable-functions(長時間実行ワークフロー) - 使うとき: イベント駆動の処理やAPIバックエンドをサーバーレスで組むとき
template.yaml 編集時に hooks で sam validate が自動実行され、構文エラーが即座に分かります。
3. aws-amplify — フルスタック開発
AWS Amplify Gen 2 によるフルスタックアプリ開発を、バックエンド → サンドボックス → フロントエンド → 本番の4フェーズで進めます。
- トリガーワード: 「Amplifyで〇〇を作って」「React + Amplifyで認証付きアプリを作って」
- 対応フレームワーク: React, Next.js, Vue, Angular, React Native, Flutter, Swift, Android
- 使うとき: 認証・データ・ストレージを含むフルスタックを Amplify で一気に立ち上げたいとき
依頼すると Cognito 認証 + DynamoDB + AppSync などの構成が組まれます。なお、静的サイトの配信先として Amplify Hosting を選ぶといった構成は、deploy-on-aws 側でも選択肢として扱われます。
4. databases-on-aws — データベース管理
Amazon Aurora DSQL(サーバーレス分散SQLデータベース)に特化したスキルを提供します。
- トリガーワード: 「DSQLでテーブルを設計して」「MySQLからDSQLに移行して」
- 主な機能: スキーマ設計・管理、クエリ実行(MCP経由で直接操作可)、MySQL → DSQL移行、マルチテナント分離、IAM認証設定
- 使うとき: DSQL を採用する構成でスキーマやマイグレーションを扱うとき
transact 操作後に hooks でスキーマ検証が促され、意図しない変更を防げます。
5. migration-to-aws — GCPからの移行
Google Cloud Platform から AWS への移行を、発見 → 確認 → 設計 → 見積もり → 実行の5フェーズで支援します。
- トリガーワード: 「このTerraformプロジェクトをGCPからAWSに移行して」
- 主な機能: Terraform からの GCP リソース発見、サービスマッピング、コスト・ROI算出、移行計画とリスク特定
- 使うとき: GCP上の既存ワークロードを AWS へ移す計画を立てるとき
進行状況は .migration/[MMDD-HHMM]/ に保存され、会話をまたいで継続できます(.gitignore も自動生成)。
6. amazon-location-service — 地図・位置情報
地図表示・ジオコーディング・ルート計算・ジオフェンシングなどの位置情報機能を追加できます。
- トリガーワード: 「MapLibreで地図を表示するコンポーネントを作って」
- APIカテゴリ: Places(住所⇔座標、検索)、Maps(インタラクティブ / 静的地図)、Routes(距離・時間・最適化)、Geofences & Trackers(境界検知・トラッキング)
- 使うとき: アプリに地図や経路、位置監視の機能を組み込むとき
補足:各プラグインの仕組み
各プラグインは MCPサーバー 経由でAWSの最新ドキュメントや料金情報を参照するため、プロンプトからの推測ではなく実データに基づいて回答・実行します。また、スキルはトリガーワードに基づいて自動起動するため、スラッシュコマンドを叩かず自然な日本語で依頼するだけで動きます。
仕組みの詳細はリファレンスとして以下にまとめます。本筋(使い分け)には不要なので、必要に応じて参照してください。
リファレンス:連携するMCPサーバー
| MCPサーバー | 種別 | 機能 |
|---|---|---|
| awsknowledge | HTTP | AWSドキュメント、アーキテクチャガイダンス |
| awspricing | stdio | リアルタイム料金情報 |
| awsiac | stdio | IaCベストプラクティス |
| aws-serverless-mcp | stdio | サーバーレス開発ガイダンス |
| aws-mcp | stdio | AWS全般のドキュメント参照 |
| aurora-dsql | stdio | DSQL直接操作(デフォルト無効) |
リファレンス:プラグインの構造
plugin-name/
├── .claude-plugin/
│ └── plugin.json # メタデータ(名前、バージョン等)
├── .mcp.json # MCPサーバー定義
├── hooks/
│ └── hooks.json # 自動実行フック(任意)
└── skills/
└── skill-name/
├── SKILL.md # スキル定義(YAMLフロントマター付き)
└── references/ # 参照ドキュメント
リファレンス:ローカルテストでの利用
リポジトリをクローンしてローカルで試すこともできます。
git clone https://github.com/awslabs/agent-plugins.git
cd agent-plugins
claude --plugin-dir ./plugins/deploy-on-aws
これでdeploy-on-awsプラグインが有効な状態でClaude Codeが起動します。
実際に使ってみた感想
良い点
- セキュリティがデフォルトで担保される — 自分でセキュリティ設定を考えなくても、暗号化・プライベートアクセス・最小権限が自動適用される
- コスト見積もりがデプロイ前に出る — 「デプロイしたら思ったより高かった」を防げる
- IaCが自動生成される — CDK/CloudFormation/Terraformから選べる。手書きの苦労から解放される
- MCPサーバーによるリアルタイム情報 — 古い情報に基づく間違いが少ない
注意点
- AWS CLIの事前設定は必須。クレデンシャルがないと何も動かない
- デプロイは必ずユーザー確認を挟むが、内容はしっかり確認すること
- 生成されるIaCコードは基盤としては良いが、本番運用では追加のチューニングが必要な場合もある
自分の使い方:見積もりとTerraform生成
自分は deploy-on-aws を主に コスト見積もり と Terraformコードの初期生成 の2つの用途で使っている。
- コスト見積もり: 「こういう構成を考えているがAWSでいくらかかる?」と投げると、サービス単位の内訳付きで月額試算が出る。Pricing Calculatorを手で触るより速い
- Terraform生成: 「S3 + CloudFront + Route53 の静的サイト構成のTerraformを書いて」と依頼すると、ベースとなるHCLが数秒で生成される。そこから自分の要件に合わせてチューニングする流れ
「会話だけで完結」したのは体感で 8割程度。残り2割はTerraformの変数設計やmodule分割など、組織のIaC標準に合わせた調整が必要だった。ただし「1からTerraformを書く」コストと比較すれば、圧倒的に早い。
まとめ
- AWS公式の「Agent Plugins for AWS」は、Claude CodeにAWSの専門知識を注入するプラグイン集
deploy-on-awsを入れるだけで、コードベース分析 → サービス選定 → コスト見積 → IaC生成 → デプロイの大部分を会話ベースで進められる(筆者の体感では8割程度が会話で完結し、残りは要件に合わせた調整)- サーバーレス、Amplify、データベース、移行、位置情報と幅広いユースケースをカバー
- セキュリティはデフォルトで確保され、コスト見積もりはリアルタイム料金に基づく
- 導入は
/plugin marketplace addと/plugin installの2コマンドだけ
AWSでの開発・運用をしている方は、まずdeploy-on-awsだけでも試してみてください。「AWSにデプロイして」と言うだけでここまでやってくれるのか、と驚くはずです。