Claude Codeの「Ultraplan」とは?クラウドで計画を立て、ターミナルを解放する新機能
はじめに
Claude Codeで少し複雑な実装を始めるとき、まず「計画を立てる」ステップを挟むことがあります。
/plan コマンドを使えば、Claudeがコードベースを分析し、実装の手順を整理してくれます。これ自体は非常に便利な機能ですが、ひとつ不満がありました。
計画を立てている間、ターミナルが占有されてしまう。
ローカルでClaudeがコードを読み、依存関係を調べ、計画をまとめている間、自分はただ待っているだけです。数分とはいえ、「今のうちに別のことをしたいのに」と思ったことがある方は多いのではないでしょうか。
Ultraplan は、まさにこの問題を解決するために生まれた機能です。
この記事で学べること
この記事は「Ultraplanという新機能の紹介」ではなく、自分やチームがUltraplanを使うべきかを判断するためのガイドとして書いています。具体的には次の3点を持ち帰れるようにまとめました。
- Ultraplanと通常の
/planの3つの大きな違い — 何がどう変わるのかを押さえる - 自分のチームで使うべきかの判断基準 — 向いているケース・通常の
/planで十分なケースの切り分け - 企業利用時の必須チェック項目 — コードのクラウド送信、対応プラン、ベータ版リスクなど
Ultraplanとは
ひとことで言えば、計画立案のフェーズをまるごとクラウドに移すことで、ローカルのターミナルを解放する機能です。
通常の /plan はローカルで動きます。Claudeがコードベースを1つずつ読み進め、計画を組み立てる——この処理がすべてターミナル上で行われるため、完了するまで他の作業ができません。
Ultraplanでは、この処理がAnthropicのクラウドインフラに移ります。しかも単に場所が変わるだけではなく、複数のエージェントが並列でコードを探索します。あるエージェントがフロントエンドのコンポーネント構造を分析している間に、別のエージェントがバックエンドの依存関係を調べ、さらに別のエージェントが設定ファイルの整合性を確認する——こうした並列処理により、通常4分以上かかる計画が約1分で完了します。
個人ブログのリファクタリングで試した所感
このブログのリファクタリング(カテゴリシステムの追加、タグシステムの実装)で実際にUltraplanを使ってみた。
良かった点:
- ブラウザUIで計画を俯瞰できるため、「この変更はlib/posts.jsに影響するか」「サイドバーとの整合性は大丈夫か」といった依存関係を見落としにくい
- 複数ファイルにまたがる変更の計画が、ローカルのターミナルだけで考えるよりも整理しやすかった
- 計画をレビューしてからローカルに持ち帰って実行、という流れが自分のワークフローに合っていた
注意した点:
- このブログは執筆当時はS3+CloudFrontの静的エクスポート構成(現在はCloudflare Pagesへ移行済み)だったため、サーバーサイド機能を提案されないよう、プロジェクトの制約を計画に含める必要があった
- ベータ版のため、計画の出力フォーマットが変わる可能性がある。計画自体をそのままコミットするのではなく、参考資料として使うのが安全
個人開発の規模感(ファイル数50〜100程度)であればローカルの /plan でも十分だが、「複数のサブシステムにまたがる変更」を計画する場合にはUltraplanの並列エージェントによる網羅性が明確に上回ると感じた。
通常のplanとの違い
具体的にどこが違うのか、表で比較してみます。
| 項目 | /plan(通常) | /ultraplan |
|---|---|---|
| 実行場所 | ローカルマシン | Anthropicクラウド |
| 使用モデル | ローカルのClaudeモデル | Claude Opus 4.6 |
| 処理方式 | シングルエージェント | 複数エージェントによる並列処理 |
| 所要時間 | 4分以上 | 約1分 |
| ターミナル | 占有される | 解放される |
| レビュー方法 | ターミナル上のテキスト | ブラウザ上のリッチなUI |
大きな違いは3つです。
1. ターミナルが空く。 計画の生成中も、ターミナルで別の作業(git操作、テスト実行、別ファイルの編集など)ができます。
2. 速い。 並列処理のおかげで、ローカルの約4倍の速度で計画が完成します。
3. レビューしやすい。 ブラウザ上で計画を確認でき、セクションごとにインラインコメントを付けたり、絵文字リアクションで素早くフィードバックを返したりできます。ターミナルのテキスト出力よりも格段に見やすいです。
使い方(クイックガイド)
前提として、Claude Code on the webのアカウント(Pro、Max、Team、またはEnterpriseプラン)とGitHubリポジトリへの接続、および対応バージョンのClaude Codeが必要です。詳細な前提条件・最新のバージョン要件はClaude公式ドキュメントを参照してください。
ここでは実際の流れを3ステップに圧縮して示します。
ステップ1:起動する
スラッシュコマンドで直接起動するのが最もシンプルです。
/ultraplan 認証サービスをセッション方式からJWTに移行する計画を立てて
会話の中に「ultraplan」というキーワードを含めても起動します。また、通常の /plan の承認ダイアログから「Ultraplanに切り替える」選択肢を選んで移行することもできます。
ステップ2:待つ — この間ターミナルは解放される
クラウドセッションが始まると、ターミナルにはステータスインジケーター(researching... → ready)が出るだけで、この間ターミナルは自由に使えます。計画が完成したら表示されるリンクをブラウザで開き、アウトラインで俯瞰したりインラインコメントで修正を依頼したりしながらレビューします。
ステップ3:実行する
計画に納得したら、そのままクラウドで実装してGitHub PRを作成するか、計画をローカルに持ち帰って実装するかを選べます。ローカルに持ち帰る場合は、現在のセッションで続ける/新しいセッションで開始する/ファイルに保存して後で使う、の3パターンから選択できます。
Claudeから質問が来ることもある
計画を立てている途中で、Claudeが判断に迷うことがあります。そのときはターミナルに以下のような表示が出ます。
◇ ultraplan needs your input
たとえば「既存のAPIとの互換性を保ちますか?」「テストは既存のフレームワークで書きますか?」といった質問です。回答すると、Claudeはその方針に沿って計画を修正してくれます。
こういうユーザーに向いている
Ultraplanはすべての場面で使うものではありません。特に効果が大きいのは以下のようなケースです。
大規模なリファクタリングを計画する人
複数のファイル・モジュールにまたがるリファクタリングでは、依存関係の把握だけでも時間がかかります。Ultraplanの並列エージェントは、こうした広範囲の探索を短時間でこなしてくれます。
アーキテクチャの設計判断を必要とする人
「認証方式を変えたい」「データベースを移行したい」「マイクロサービスに分割したい」——こうした大きな設計判断では、コードベース全体を見渡した上で計画を立てる必要があります。ブラウザのリッチなUIで計画をレビューできるのは、こういった場面で特に有用です。
待ち時間を有効活用したい人
ローカルの /plan で4分以上待つのがもったいないと感じている人。Ultraplanなら計画生成中もターミナルが使えるので、git操作やテスト実行など別の作業を進められます。
チームで計画をレビューしたい人
ブラウザ上の計画はURLで共有できるため、チームメンバーにレビューを依頼しやすくなります。「この設計方針でいいか確認してほしい」というケースで便利です。
使わなくてもいいケース
逆に、以下のようなケースでは通常の /plan で十分です。
- 小さなバグ修正 — 影響範囲が明確で、計画を立てるまでもない
- 単一ファイルの変更 — ローカルでも数十秒で計画が立つ
- 定型的な作業 — 手順が決まっている作業に大掛かりな計画は不要
- オフライン環境 — クラウド接続が必要なため、オフラインでは使えない
判断基準はシンプルです。「計画の立案に複数ファイルの探索が必要で、待ち時間がもったいないかどうか」。当てはまるならUltraplan、そうでなければ通常の /plan で十分です。
企業利用時のリスクと注意点
個人で使う分にはほとんど気にならないことでも、企業で利用する際にはいくつかの注意点があります。
コードがクラウドに送信される
Ultraplanはクラウド上で動作するため、リポジトリのコードがAnthropicのインフラに送信されます。個人プロジェクトなら問題ありませんが、企業のプロプライエタリコードを扱う場合は、セキュリティポリシーやNDAとの整合性を確認する必要があります。
確認すべきこと:
- 社内のセキュリティポリシーで、コードの外部クラウドへの送信が許可されているか
- Anthropicのデータ取り扱いポリシー(学習への利用有無、データ保持期間など)が自社の基準を満たしているか
- NDAや顧客との契約で、コードの第三者サービスへの送信に制限がないか
対応プランの制限
Ultraplanの利用には Claude Code on the webのアカウント(Pro、Max、Team、またはEnterpriseプラン)が必要です。無料プランやAPIキーのみの利用では使えません。
また、AWS BedrockやGoogle Cloud Vertex AI経由のClaude Codeでは利用できません。Anthropicへの直接契約が必要です。企業によってはクラウドプロバイダー経由でClaudeを利用しているケースもあるため、契約形態を確認してください。
ベータ版である
2026年4月現在、Ultraplanはリサーチプレビューの段階です。
- 仕様や機能が予告なく変更される可能性がある
- 本番運用のワークフローに組み込む場合は、仕様変更時の影響を考慮しておく
- SLAが保証されていないため、Ultraplanが使えないときのフォールバック(通常の
/plan)を用意しておく
GitHubリポジトリが必須
Ultraplanの利用にはGitHubリポジトリへの接続が必要です。GitLabやBitbucketなど、GitHub以外のGitホスティングサービスを使っている場合は利用できません。
その他の補足
費用について
Ultraplanに追加料金はかかりません。Claude Code on the webのサブスクリプション(Pro、Max、Team、Enterprise)に含まれています。
ただし、並列エージェントが動作するためローカルの /plan よりもトークン消費量は多い可能性があります。Maxプランなどのトークン上限がある場合は、使いすぎに注意してください。
Remote Controlとの排他
Claude Codeの「Remote Control」機能(ブラウザからCLI操作を行う機能)とUltraplanは、同じClaude Code on the webのインターフェースを使います。そのため、Ultraplan実行中はRemote Controlが切断されます。両方を同時には使えない点に注意してください。
進行状況の確認
Ultraplanの実行中に進行状況を確認したい場合は、以下のコマンドが使えます。
/tasks
セッションリンク、エージェントのアクティビティログ、停止アクションが表示されます。
まとめ
- Ultraplanは、計画立案をクラウドに移してターミナルを解放する機能
- 複数エージェントの並列処理により、通常の約4倍の速度で計画が完成する
- ブラウザ上のリッチなUIで計画をレビューでき、インラインコメントやリビジョンが可能
- 大規模なリファクタリングやアーキテクチャ設計など、広範囲のコード探索が必要な場面で特に効果的
- 企業利用時はコードのクラウド送信、ベータ版のリスク、GitHub依存、プラン制限を確認すること
- クラウドで実装してPR作成、またはローカルに持ち帰って実装、の2つの実行パスが選べる
小さなバグ修正に使うものではありませんが、「これから大きな変更に取りかかるぞ」というタイミングでは非常に頼りになります。計画を待っている間にコーヒーを淹れる代わりに、別のタスクを進められる——その数分の積み重ねは、1日単位で見ると意外と大きいものです。
関連記事
- Claude Code の /schedule と claude -p、どう使い分ける? — Ultraplanと同じく「クラウドで動かす」選択肢として、定期処理をクラウドの
/schedule(routines)で回すか、ローカルでclaude -pを回すかを、料金体系やセキュリティの観点から整理した記事です。クラウド実行とローカル実行の違いという点で本記事と通じる内容です。